認知症予防のさんぽ道

認知症研究者・医師が発信するホットな情報

2020-01-01から1年間の記事一覧

ルテインの多い野菜について

前回の記事で、βカロテンについて書きました。βカロテンなどの一群の天然色素物質はカロテノイドと呼ばれています。最近の研究では、カロテノイドの摂取量が多い人は、アルツハイマー認知症に罹るリスクが低下するということが報告されています。やはり、抗…

βカロテンの多いおすすめ野菜

βカロテンは、ビタミンAの前駆物質としての役割に加えて、それ自体が抗酸化作用を持っているので、生活習慣病に対する予防効果が注目されています。 必要な分だけがビタミンAに転換されて、網膜、視覚機能維持に働くことが知られています。また、粘膜、皮膚…

認知症予防とゲーム

認知症予防のために脳トレが役立つということは、いろいろなメディアで言われていることです。しかし、いざどんな脳トレが役に立つのかという点になると、なかなかこれというものがないような気がします。巷には、それにまつわる書籍も多数でているので、参…

街歩きと認知症予防

診療の場面で、私はよく散歩をお薦めします。ですが、いつも同じところを歩いていると飽きてしまうこともあります。運動面だけならそれでもよいのですが、少し知らない所、いままで訪れたことのない所を散歩するということは、運動以外の面でも案外良いこと…

運動には海馬萎縮の予防効果がある

認知症予防のために、運動が重要といわれています。私の経験でも、運動をしっかりしている患者さんはよい状態を維持できる傾向があります。 その理由として、運動、特に有酸素運動をすると、脳内で、BDNFという神経栄養因子が産生されて、脳神経の働きを活性…

認知症と遺伝

アルツハイマー認知症は遺伝するの?と医師にきいてもあまりはっきり答えてもらえないのではないでしょうか?家族性のものはごく一部で、そのほかに遺伝的危険因子の主なものとしてアポE4があります。

タバコは認知症のリスク

認知症予防に禁煙は重要なことというのは、よく知られています。一般的に、タバコをすう人はすわない人より認知症になるリスクが高いので、そう言われるわけです。それでは、MCIの人が、認知症に進むことに、タバコは影響するでしょうか。そこにもタバコは影…

味覚と認知症

患者さんの家族の話として、「最近料理の味つけがおかしくなった」ということはしばしばあります。認知症の症状の一つに、味覚異常があり、その症状のため、味付けが濃くなってしまうということのようです。濃くなるだけでなく、味のバランスとか、調味料の…

MCIから認知症への移行を予想できるか?

MCIという診断がついた時、認知症への移行の可能性についてある程度考えておく必要があると思います。何回か前に、MCIのタイプには、アルツハイマータイプと非アルツハイマータイプがあると書きました。アルツハイマータイプでは、認知症へ進展する可能性が…

MCIは健常へ戻りうる

MCI軽度認知障害と診断されても、その後に健常に戻ることがあるということは知っておくべきです。しかし、その割合は全体の15~30%と言われており、割合としては多くはありません。ある研究では、3年後には全体の約3分の1は認知症に移行し、15%は…

リコード法の考え方とMCI治療

米国のブレデセン博士の開発したリコード法という治療法が話題になっています。この療法では、患者さんのデータに基づいて個別的な治療プログラムを作るのですが、基本は運動、食事、睡眠(瞑想も含む)、サプリメントであるようです。運動と食事はかなり厳…

日誌ノートの効用

MCI、初期の認知症の方にすすめることとして、日誌ノートを作って書くようにすることがあります。一日にあったこと、したこと、どこそこへ行ったとか、何を買ったとか、何を食べたとか、誰かと会ったとか、なんでもよいので、思い出して、文章にして書くとい…

趣味・読書の認知症予防効果

前に、趣味は認知症予防に重要と書きましたが、そのことを示した研究があります。米国の研究で、1000人弱の65才以上の人を長期間観察した場合の研究です。その場合、一日に読書か趣味(パズル、ゲームなどを含める)に平均1時間以上費やしていた人は、そ…

アルツタイプのMCIは健忘型が多い

アルツハイマータイプのMCIの症状は、物忘れがふえた、物憶えの悪さ、仕事上のミス、スケジュールとか約束が抜けてしまうなどが多いです。いわゆる健忘型というものです。ですが、こういう症状があるからMCIとは限らず、健常との識別には注意を要するところ…

アルツタイプのMCIか非アルツタイプのMCIか

MCIという診断がなされた場合、その背景がどういう病態かにより、方針を考えることになると思います。一番の問題は、その背景がアルツハイマータイプか、非アルツハイマーかということです。医師が目安にするのは、脳血流シンチグラフィー検査でしょう。この…

脱無趣味で認知症予防を

認知症予防で大事なことはいろいろあるのですが、趣味を持つことはとても重要だと思います。趣味といえば、文化的なもの、運動的なもの、両面あるものと様々です。たとえば、音楽なら、楽器、歌、カラオケなどでしょうか。アートなら絵画、写真、手芸など。…

MCIの診断に必要な心理検査

MCIの診断は難しいということを前に書きました。それは、心理検査の面からも言えることです。認知症の簡易的な検査にMMSE(ミニメンタルステート検査)とHDS-R(改訂長谷川式認知症スケール)があります。しかし、これらだけではMCIの診断には不十分です。こ…

サプリの話

MCIレベルの人にどんなサプリがよいですか?という質問は、答えるのがむつかしい質問といえます。一つには、自分でためしたことがほとんどないということ、二つ目には、患者さんにすすめたものがあっても、限定されていること、そんな理由からです。そんな中…

MCIの説明の仕方

MCI(軽度認知障害)をどう説明するか、医師により様々だと思います。「障害」という言葉があると、印象が良くないので、もう少しやわらかい言い方を使うこともあります。たとえば白でも黒でもない「グレーゾーン」ですねとか、「認知症予備軍」という言い方…

MCIの治療は多角的に

前回MCIの治療方針は定まっていないと書きました。随分いい加減ではないかという感じがしますが、それが実情だといえます。ですが、一つ言えることは、「MCIの治療は多角的であるべき」ということです。クスリやサプリだけに頼っていてはだめで、食事、運動…

MCIの治療方針は定まっていない

これはとても重要なことなのですが、MCIの治療をどうするかはまだ定まっていません。認知症治療薬による薬物治療が効果的という証拠はまだ出ていないので、どのような治療方針をとるか、迷う場合も多いといえます。このブログで、MCIの原因は様々ということ…

自覚のありなしは重要なポイント

認知症の人が診療所に家族に連れられてやってきても、本人は「自分は悪いところはない」といって、連れてこられた理由がわかっていないことがあります。こうなると、自覚(医学用語で「病識」)がないということで、認知症の一つの症状がでていると考え、か…

MCIの原因は様々

MCI(軽度認知障害)と一言でいっても、その中身というか、脳にどういう異常があるかは、人により違っています。一番多いのは、アルツハイマー型の異常がある場合で、アミロイドβという異常タンパク質が脳に塊を作って溜まっていて、神経細胞が悪い影響をう…

軽度認知障害(MCI)とは

前回、認知症になってしまってからでは、進行を抑えることが困難だということを書きました。それは、その時点で、脳の障害がかなり広がっているからです。では、認知症と正常の中間段階はあるのでしょうか。答えはイエスです。認知症の経過を考えた場合、正…

認知症になってからでは治療は困難

認知症は予防が大事であるということは、よく耳にします。予防が大事ということは、どんな病気にも言えることだといえます。予防と同時に早期発見ということも同じくらい大事でしょう。たとえば、「がん」では、予防と早期発見が大事なことは常識になってい…

「認知症予防の知っトク話」認知症予防について、話題提供します

私はDr.Wataru Aです。認知症の研究を長く行ってきて、現在は認知症の診療に携わっています。 認知症は予防が重要だということは、最近よくテレビや雑誌にも大きく取り上げられています。それに関連する書籍もたくさん出版されています。ですが、…