認知症予防のさんぽ道

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認知症になってからでは治療は困難

認知症は予防が大事であるということは、よく耳にします。予防が大事ということは、どんな病気にも言えることだといえます。予防と同時に早期発見ということも同じくらい大事でしょう。たとえば、「がん」では、予防と早期発見が大事なことは常識になっています。では、認知症の場合はどうかというと、そこまで常識になっていない面がありそうです。

私の勤めている診療所にも、いろいろな患者さんがやってきます。まったく正常な人から、「軽度認知障害」という予備軍にあたる人、もうはっきり認知症だといえる人まで様々です。

その中で、認知症と診断されるくらいはっきり認知機能が落ちてしまっている場合、その病気の進行をおさえることは非常に難しいのが現実です。もちろん、患者さんのためにできるだけのことはするわけですが、その時点で脳の中では、神経細胞の障害がかなり広がってしまっていて、そのことが治療を難しくしているといえます。

ですから、認知症とはっきりわかってから、病院につれてきても、なかなか思うように進行するのを抑えられないということが多いわけです。医師もいろいろと手を尽くすことはするのですが、やはり限界があるといえます。

このような現実がありますから、認知症になる前に、その前段階で異常を見つけることがとても重要なことだといえると思います。

次回は軽度認知障害について、わかりやすく説明します。