認知症予防のさんぽ道

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運動には海馬萎縮の予防効果がある

認知症予防のために、運動が重要といわれています。私の経験でも、運動をしっかりしている患者さんはよい状態を維持できる傾向があります。

その理由として、運動、特に有酸素運動をすると、脳内で、BDNFという神経栄養因子が産生されて、脳神経の働きを活性化するということがあげられます。BDNFは、Brain-derived neurotrophic factor の頭文字から名づけられました。また、運動は脳血流にもよい影響を与えます。

さて、運動には海馬の萎縮を防ぐ効果があるという研究があります。これは、健常な人で行われた研究が主なのですが、9件の論文をまとめて解析した研究(ニューロイメージという国際誌に2018年に論文発表)によれば、有酸素運動をつづけることで、左側の海馬の体積の減少が有意に抑えられたということです。海馬は、記憶に最も大切な場所ですので、この効果は意義深いものといえます。

ウオーキングなら30-60分、週3回することで、運動効果をあげることが可能ですし、サイクリングもよいようです。

上に述べた効果は、運動が脳の健康を保つのに大切だという概念を裏付けるものといえます。

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