認知症予防のさんぽ道

認知症研究者・医師が発信するホットな情報

日誌ノートの効用

 MCI、初期の認知症の方にすすめることとして、日誌ノートを作って書くようにすることがあります。一日にあったこと、したこと、どこそこへ行ったとか、何を買ったとか、何を食べたとか、誰かと会ったとか、なんでもよいので、思い出して、文章にして書くということです。行数は数行程度でもよいのですが、大事なことは、思い出して書く、「想起」ということです。想起することにより、記憶にかかわる神経細胞、神経回路が活動するので、その活動を維持することで、記憶能力の低下を防ぐために役立つと考えられます。また、ノートを読み返して、記憶を呼び戻すことも、神経細胞にはよい効果があると思います。さらには、書くことで漢字を思い出すという効果もあります。料理が趣味の人は、献立ノートを作るのもよいかもしれません。はじめのうちはおっくうになるかもしれませんが、慣れれば、楽にできるようになるものです。この日誌ノート書きは、記憶力維持のためにぜひ試してみてほしいと思います。