認知症予防のさんぽ道

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パソコンやインターネットを使う人は認知症になりにくい

私は診察の時に(特に初診の場合)、携帯電話の使用とパソコンの使用について尋ねるようにしています。携帯やパソコンでメールができるかできないかは、認知機能を推測する目安になるという気がします。

では、パソコンやインターネットを使っていることが認知症予防に有効なのでしょうか?この問題について実際に縦断的な研究がいくつかなされており、おおむね有効であるという結果が報告されています。

たとえば、日本で行われた研究(*)では、約2千人の被験者を4年間追跡して、統計学的な解析がなされました。その結果、コンピューターを使用する人は、しない人に比べて、認知機能の低下することが少なかったということです。

同様に、海外の研究でも、インターネットを使用する人、しない人(合計約8千人)を10年間程度追跡調査した結果、使用する人の方が、認知機能低下をおこす割合が小さかったと報告されています。

すなわち、パソコンやインターネットを積極的に活用することが認知症予防に役立つ可能性が示唆されます。

この効果のメカニズムについては、まだはっきりしませんが、脳内の神経回路に対する何等かの刺激効果があるとか、脳の認知的予備力が増加するなどの可能性があると思われます。

パソコンに慣れない方も億劫がらずに、日常的に使ってみることをお勧めしたいと思います。

 

国立長寿医療研究センターの研究 Archives of Gerontology and Geratirics 2021