認知症予防のさんぽ道

認知症研究者・医師が発信するホットな情報

楽器の演奏をしている人は認知症リスクが低下する

音楽、特に楽器演奏が認知症予防に役立つということがよく言われるのですが、そのことを前方視的に調べた研究が3つくらいあります。日本の研究グループは、その3つの研究をまとめて統計学的な解析をして、昨年論文を発表しています。それによると、2つは米国の研究、1つは日本の研究ということです。日本の研究はかなり大規模なもので、5万人くらいの高齢者(65歳以上)を6年近く追跡しています。結果としては、楽器を演奏していることによって、認知症になるリスクが有意に低下していました。(ハザード比0.64)

つまり、楽器演奏には認知症予防効果があると結論されました。そのメカニズムはまだはっきりしていませんが、可能性としては、脳の予備力が増加することや、脳の可塑性を刺激すること、ストレスを減らすこと、社会的なつながりが広がることなどがあげられています。

私も以前習っていたポピュラーピアノの練習を最近やり始めているのですが、やはり脳の活性化になるのは確かだと思います。

 

下記の論文を参考にしました。

Arafaら BMC Neurol 2022