認知症予防のさんぽ道

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カロテノイドの摂取と認知症予防

私は診療をしていて、認知症と診断される方に栄養バランスに気をつけていない人が多いような印象を持っています。栄養素の中でも、カロテノイドは、高い抗酸化力を持つので、重要なものであると思います。

アルツハイマー病とカロテノイド摂取の関係を示唆する研究はかなり多くのものが報告されています。それらの内から、興味深いものの概要を紹介してみます。

これはイギリスのベルファスト大学で行われた研究で、約250人 のアルツハイマー病患者と約 300人の健常者の血清を使った研究です。血清中の6種類のカロテノイドの濃度が調べられました。すなわち、αカロテン、βカロテン、リコピンルテイン、ゼオキサンチン、βクリプトキサンチンの6種です。その結果、これらすべてのカロテノイドの濃度は、アルツハイマー患者で、健常者よりも有意に低かったということです。特に、ルテインの濃度は、MMSEの点数と相関がみられていました。

この研究から、血清中カロテノイドの低下が、アルツハイマー病の発症に関与している可能性も暗示されます。カロテノイドは、抗酸化力が強いことから、脳内の酸化ストレスを抑えることによって、発症の防御効果があるのかもしれません。

カロテノイドを多く含む野菜をとるようにすれば、認知症のリスクを減らすことにつながるといっても過言ではないと思います。

カロテノイドについては、この記事の前の2つの記事に説明してありますので、ご覧ください。

 

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